
マンションのスケルトンリフォーム(リノベーション)の費用相場は?費用を抑えるポイントも解説

マンションをスケルトンリフォームしたいものの、費用相場が分からない方も多いのではないでしょうか。予算の範囲内で納得のいく形でリフォームを実施するためには、費用相場や内訳を把握したうえで、いくつかポイントをおさえておくことが重要です。
本記事では、マンションをスケルトンリフォームする際の費用相場や内訳、費用を安く抑えるポイントなどを詳しく解説します。
マンションのスケルトンリフォームにかかる費用相場
マンションをスケルトンリフォームする際にかかる費用は、内装のデザインや材質、建物の坪数などによって大きく異なりますが、300万~1,200万円ほどが相場です。デザインやグレードなどによっては、1,500万円ほどかかるケースもあります。1坪あたりの費用を表す坪単価を見てみると、10万~50万円/坪が目安です。
ちなみに、一戸建てのスケルトンリフォームの費用相場は、450万~2,500万円といわれます。
ただし、ここで紹介している費用はあくまでも目安であり、業者に見積もりを取得して具体的な費用を確認することが大切です。
リフォームにかかる費用は工事内容によって変わるため、事前に施工箇所ごとの費用相場を把握しておくと安心です。内装リフォームの費用相場を知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説します。
マンションのスケルトンリフォーム事例
【Before】
【After】
- 住宅の種類:マンション
- 面積:約80m2
- 費用:800万~1,000万円
- 施工期間:2ヶ月
- 施工箇所:キッチン、トイレ、リビング・ダイニング、収納、洋室、床、廊下・階段・窓、洗面台、浴室・バス、玄関・ホール
築28年の中古マンションを購入後、3LDKの室内を一度スケルトン状態にして、全面的なリフォームを実施しました。間取りを自由に変更できる設計で、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるように工夫しています。
マンションのスケルトンリフォーム費用の主な内訳
マンションのスケルトンリフォームにかかる費用を正しく把握するためには、費用の主な内訳を理解しておくことが大切です。業者から見積もりを取得する際に、どのような項目が記載されているか確認しましょう。
一例として、中古マンションに一般的な内容のリフォームを実施した場合にかかる費用の主な内訳を紹介します。ただし、リフォーム会社から提出される見積書に記載される費用の項目はリフォーム内容や予算などによって異なります。
- 仮設工事費用
- 解体/撤去工事、下地作りの費用
- 室内ドアなど建具工事(建具)の材料費や工賃
- 内装工事に必要な材料費や工賃
- 水回りの製品代や工賃
- 給排水/電気/ガス工事費用
- 諸経費(現場管理費など)
スケルトンリフォームとは?メリット・デメリットをチェック
リフォームを依頼する場合は、事前にリフォームの種類や内容についてもきちんと理解しておくことが重要です。スケルトンリフォームのメリットとデメリットを確認する前に、混同されがちなリフォームの種類と意味の違いを確認しましょう。
スケルトンリフォームとは、建物の骨組や構造を残して、大幅なリフォームや改修工事を実施することを指し、リフォームやリノベーションと区別して表現されます。
なお、リフォームとリノベーションは、ほぼ同義として用いられますが、厳密には以下のような意味を指します。
- リフォーム:建物を新築同様の状態に戻す改修工事のこと
- リノベーション:スケルトン状態にしないで行う大規模な改修工事のこと。性能を向上させるなどして建物の価値を高める工事を指すことが多い
スケルトンリフォームは、建物の価値を高めるために実施されることもあるため、実質的にはリノベーションの一種といえます。一度、建物を骨組の状態にするかどうかという点で、スケルトンリフォームとリノベーションは区別されることが一般的です。
ちなみに、建物をスケルトン状態にする「フルリノベーション」は、スケルトンリフォームと基本的に同義として扱われます。
では、ここからはスケルトンリフォームのメリットとデメリットについて解説します。
スケルトンリフォームのメリット
スケルトンリフォームのメリットには、主に以下があげられます。
- 既存の形状にとらわれずに間取りを見直せる
- 新築同様に仕上げられる
- 水回りや配管などを見直せる
- あわせて断熱性や防音性を高められる
スケルトンリフォームでは、建物を一度骨組みの状態にするため、基本的には建物の既存の形状と関係なく間取りを設定できます。また新築同様に仕上げることができ、家全体に統一感を持たせられる点が特徴です。同時に、水回りや配管の設備を移動したり新設できます。動線を見直せる点は、メリットといえるでしょう。
また、下地材の交換や間仕切り壁の設置が可能であるため、断熱材を導入したり、防音性の高い壁や窓などを設置しやすくなります。
スケルトンリフォームのデメリット
一方で、デメリットについても押さえておくことが大切です。
スケルトンリフォームの主なデメリットは以下のとおりです。
- 希望の間取りにできないこともある
- 仮住まいの手配が必要なケースもある
- 工期が長くなりやすい
- 騒音対策が必要
マンションの場合、建物の構造によって自由に間取りを設定できないケースもあります。建物を壁で支える壁式構造の場合、壁が建物の耐震性を維持していることから、自由に取り外せないケースがあるようです。間取り変更を検討している場合は、事前に施工が可能かどうかを確認しましょう。
また、工事中は仮住まいが必要なケースが一般的です。仮住まいの手配や引っ越しにかかる費用、スケジュールについても確認しておきましょう。
スケルトンリフォームの工期は、一般的に1ヶ月半~2ヶ月ほどです。着工前の打ち合わせ期間も含めて2~3ヶ月程度かかることを念頭に置いて、スケジュールを組みましょう。工事期間中は近隣への騒音トラブルが発生しやすくなります。工事前に近隣への挨拶を済ませ、工事の時間帯や期間について伝えておくと安心です。
費用を抑えてマンションをスケルトンリフォームするポイント
マンションをスケルトンリフォームするには、相応の費用がかかります。費用を抑えて工事を実施するためには、いくつかポイントをおさえておくことが必要です。
ここでは、費用を抑えてマンションをスケルトンリフォームするポイントについて解説します。
地元の優良工務店に依頼する
スケルトンリフォームの費用は、依頼する業者によって左右されます。できるだけ費用を抑えたい場合は、大手や中堅のリフォーム会社ではなく、地元の優良工務店に依頼することをおすすめします。
工務店は、広告宣伝費や人件費をかけないことが多く、原価の上乗せが少なく済む傾向があるためです。ただし、値段の安さだけで業者を選ぶことはおすすめできません。施工実績や対応力、提案力などを総合的に考慮して、希望するリフォーム内容を実現できるかどうかも含めて判断することが大切です。
リフォームに適した中古マンションを選ぶ
中古マンションをスケルトンリフォームする場合は、リフォームに適したマンションを選ぶことが重要です。
前述のとおり、建物の構造によっては自由に間取り変更できないケースがあります。柱や梁で建物を支えるラーメン構造であれば間取り変更の自由度が高くなり、施工内容に関する選択肢の幅が広がります。結果として、費用を抑える施工を取り入れることにもつながるでしょう。
設備のメーカーに執着しない
導入する設備のメーカーにこだわらないことで、工事費用を抑えられるケースもあります。リフォーム会社は、水回りなどの設備をメーカーから仕入れており、仕入れ率はそのリフォーム会社とメーカーとの施工実績などに基づいて決められていることが一般的です。
そうした背景から、希望する設備のメーカーが、そのリフォーム会社との取引が少ない場合は費用が割高になってしまう場合があります。リフォーム会社がおすすめするメーカーの中から設備を選ぶことで、費用を抑えられる可能性があるでしょう。
国産メーカーの既製品をうまく活用する
設備を選ぶ際は、リフォーム会社が提案するメーカーの中から、国産の既製品を選ぶことをおすすめします。内装デザインにこだわりたいとの思いから、輸入品や特注品を選ぶと、費用が割高になる可能性があります。
デザインにこだわりたい場合は、国産メーカーの既製品から似たようなデザインを選ぶなど、予算の範囲内で設備のグレードやメーカーを検討することが大切です。
補助金などを活用する
省エネ化やバリアフリー化などのリフォームを実施する場合は、補助金をうまく活用することで、費用を抑えることにつながります。
リフォームで活用できる補助金には、主に以下のようなものがあります。
- 子育てグリーン住宅支援事業:住宅の省エネ性能を高めるリフォームを対象に国から補助金が支給される
- 先進的窓リノベ2025事業:既存住宅における窓・ドアなど開口部の高性能断熱改修を対象に国から補助金が支給される
- 給湯省エネ2025事業:世帯を問わず対象となる高効率給湯器を設置した全世帯を対象に補助金が支給される
最新の情報については、自治体の公式ホームページなどから確認しましょう。
そのほか、住宅ローンを組んで中古マンションを購入してリフォームする場合には、住宅ローン控除が適用されるケースもあります。
適切な方法でローンを組む
スケルトンリフォームにかかる費用は決して安いものではありません。そのため、ローンの借り入れを検討するケースが多くあります。ただし、ローンには種類があり、それぞれ活用できる場面が異なります。金利や借入金額、借入期間なども含めて違いを把握して、適切な方法でローンを組むことが重要です。
マンションのスケルトンリフォームを実施するのに活用できるローンには、住宅ローンとリフォームローンがあります。
住宅ローンを活用するには、物件購入時に購入費用と一緒にリフォーム費用も借り入れる方法や、すでに組んでいる住宅ローンに残債があれば借り換え時にリフォーム費用も含める方法があります。リフォームローンはリフォーム専用のローンのことです。住宅購入費用には活用できません。
住宅ローンとリフォームローン、それぞれの適用金利や借入金額・期間は異なります。一般的に、住宅ローンのほうが金利は低く、借入限度額が高い傾向があります。また、借入期間においても、リフォームローンは最長5年、または10年であるところ、住宅ローンは最長35年であることが多いです。
なお、リフォーム費用も含めて住宅ローンを組む場合は、申請のときにリフォームの見積もりが必要になることが一般的です。物件購入前の場合は不動産会社経由でリフォームの見積もりを出してもらい、ローン申請の際に活用するとよいでしょう。
まとめ
本記事では、マンションのスケルトンリフォームにかかる費用相場について解説しました。内装デザインや材質、坪数などによって大きく変動するものの、費用相場は300万~1,200万円で、施工内容によっては1,500万円近くかかることもあります。
スケルトンリフォームにかかる費用は決して安くはありません。検討する際は、メリットとデメリットを考慮したうえで、費用を抑えるポイントについても理解しておくことが大切です。本記事を参考にして、予算の範囲内で納得のいくリフォームを実施しましょう。